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2016年12月29日

子宮頚癌ワクチンが重篤な副作用の原因ではなさそう。

子宮頚癌ワクチン接種を躊躇している方とその保護者の方へ。

小学6年生から高校1年生の女児・女性は、定期予防接種として子宮頚癌ワクチンを3回無料で接種することができます。副反応問題のために市町村からお知らせはされていませんが、定期接種することは可能です。
この度、問題になっている副反応はワクチン接種のせいではなさそうであるという研究報告がありました。
中学3年生までは接種を待ってかまいません。高校1年生は、接種をご検討ください。

2016年12月26日に開催された厚生労働省の部会で、子宮頚癌ワクチン接種後の副
反応の疫学調査結果が公開されました。マスコミでも取り上げられましたが、そ
の意味が曲解されていたように思うので、すこし補足したいと思います。
(以下はワクチンを専門とする医師として、菊池の個人的な見解と解釈です。)

第23回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科
会副反応検討部会、平成28年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策
部会安全対策調査会の議事録ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000147015.html
疫学研究結果
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000147016.pdf
この資料の最後に、結論が書いてあります。

以下引用
---------------------
(1)HPVワクチン接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に報告さ
れている症状と同様の「多様な症状」を呈する者が、一定数存在した。

(2)本調査によって、HPVワクチン接種と接種後に生じた症状との因果関係は
言及できない。
---------------------
引用おわり。

この2行は理解しずらいので、言い方を変えるとこうなります。

(1)HPVワクチンを接種しても、接種しなくても、同じような「多様な症状」
が発生している。

(2)HPVワクチン接種が「多様な症状」が起きた原因とはいえない。

マスコミは因果関係が「わからない」と報道していましたが、そうではありません。
因果関係があるとはいえない、と言っています。

誤解しないでいただきたいのは、「多様な症状」が「気のせい」といっているの
ではありません。心のバランスが崩れると本当に症状がでて苦しみます。たとえ
はあまり適切ではありませんが、たとえば強い精神ストレスが原因で円形脱毛症
や胃潰瘍になります。その原因のストレスを解消すると治ります。「心因反応」
や「心身症」の症状も、もっと深い心の問題から、実際に症状が出ます。「気の
せい」とは全然違います。

この研究が示しているのは、「多様な症状」が、HPVワクチンが原因で起きた
物ではない(と考えられる)という1点を示したものです。ですから、症状が出
たことでワクチンメーカーや国を訴えるのは筋違いということです。
もちろん真の病因は医学的に解明され治療されることが望まれます。今後の研究
が待たれます。

さて、翻って、現在子宮頚癌ワクチンの接種を躊躇している方へ。

子宮頚癌ワクチンで心配されている副反応は、実質的に、子宮頚癌ワクチンの接種とは関係
ありませんでした。(これだけデータがそろえば断言していいレベルです)

子宮頚癌ワクチンを打つと、子宮頚癌のリスクを大幅に下げることができます。

小学校6年生から高校1年生の女児なら、子宮頚癌ワクチンは定期予防接種で無
料で接種することができます。
このワクチンは、HPVに感染していないバージンの内に打つと高い効果が得ら
れます。経験するとHPVに感染するので効果が下がります。

お国がいろいろ検討している間に、2年3年と時間が過ぎてしまいます。行政の人
からみれば開始が遅れてもたいしたことではありませんが、接種のチャンスをの
がして子宮頚癌になってしまった人にとっては、自分の事として苦しむことにな
ります。

この問題をわかりやすく深く掘り下げた文章が、
Wedge Infinity という新幹線のグリーン車においてある雑誌を出版している会
社の雑誌に掲載されています。
http://wedge.ismedia.jp/ud/special/567771a3b31ac90fb0000001
これの一番最初(リストの下)の3本を読んでいただくと、症状に苦しんでいる
人がいることは事実だが、それは子宮頚癌ワクチンの接種が原因ではないという
意味がわかると思います。

菊池
posted by スタッフ at 18:23| お知らせ